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取引基本契約(売買)で、自社が売主のときに注意すべきポイント
取引基本契約(売買)で、自社が売主のときに注意すべきポイント

本記事が対象となる主な業種 : 卸売業,小売業,製造業,建築業 | 立場 : 売主

一週間前以上前にアップデートされました

自社が他社に対して継続的に商品を販売するにあたって、取引基本契約(売買)を締結した場合に、トラブルにつながることが多い規定について、トラブルを避けるためにはどのような対応が必要なのか、解説します。

目次

「品質保証」に関する条文

売主としては、契約に品質保証が定められると、販売する商品について一定レベルの品質を保つことが求められ、保証した品質条件を満たさなかった場合には契約違反となります。

これを防ぐため、「品質保証」に関する条文が定められている場合、以下に記載する対応をとる必要があります。

注意すべき規定

必要な対応

「目的物の品質を保証する」旨が定められている

この場合、買主に対して売り渡す商品については、契約で定められた品質条件を満たすことが求められます。

例えば、買主側が定める品質基準に合致することを求められている場合があります。

そのため、品質保証に違反しないように、製造工程や社内の検査体制を見直すなどして、商品の品質を管理する必要があります。

特に、商品の製造委託先や部品の調達先を変更する場合には、契約で定められた品質保証に耐えられるかという観点からの確認も必要となります。

「不可抗力免責」に関する条文

売主としては、不可抗力免責に関する規定が定められている場合であっても、「感染症」や「戦争」などの一定の事由が免責事由として列挙されていなければ、これらの事由が生じた場合に売主が免責されるか否かについて、買主と争いになる可能性があります。

そこで、「不可抗力免責」に関する条文について、次のような規定となっている場合、以下に記載する対応をとることが考えられます。

注意すべき規定

必要な対応

不可抗力免責規定において、免責事由として「疫病・感染症の流行」や「戦争」が定められていない

この場合、例えば新型コロナウイルスの流行やロシアによるウクライナ侵攻の影響によって債務の履行が困難になった場合に、それを不可抗力として扱うのかどうかについて、当事者間で争いになる可能性があります。

そのため、免責事由が十分に規定されていない取引先との関係では、早めに協議を行い、免責事由を追加する旨の覚書を締結したり、契約更新時に免責事由を追加することが考えられます。

「通知義務」に関する条文

取引基本契約などの継続的契約においては、会社の商号や所在地が変更した場合や、合併等により組織が大きく変更した場合などに、相手方に通知する義務が規定されていることがあります。

このような通知を怠った場合も、契約違反となるため、「通知義務」に関する条文が定められている場合、以下に記載する対応をとる必要があります。

注意すべき規定

必要な対応

一定の事項について通知義務が定められている

この場合、通知義務を負っている事項が生じたにもかかわらず通知を怠ると、契約違反となり、買主からの信頼を失った結果、契約を解除される可能性があります。

特に、合併、買収、事業承継等の組織・資本構成の変更は、買主への影響が大きいため、通知を怠った場合には、買主からの信頼を失う可能性が高いといえます。

そのため、各取引先との関係で、どのような場合に通知義務を負っているのか、定期的に確認するのが望ましいです。


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